造影剤の最適な使用法の開発が進み,投与量,投与法,投与速度など有用
性が研究されると共に,避けては通れないのが副作用の問題である.ヨード
造影剤もガドリニウム造影剤も一定の確率で副作用が生じ,時に重篤な副作
用も見られる.特に重篤な副作用の予知と対処が重要であり,この6 年間
でも種々の研究が行われてきた.
現在でも副作用の予知は不可能であるが,危険因子がある程度わかってお
り,それらの危険因子を有する患者さんの把握とそういった患者さんに造影
剤を投与する場合の前投与薬の種類や方法などが模索され,海外では推奨す
る前投薬の投与法も見られる.しかし,それにより副作用を必ず防げるわけ
ではない.
重篤な副作用に対する対処法はかなり進歩し,特に副作用発生初期に検査
担当医や救急科を中心とする初期対応の重要性が認識され,円滑に実行され
ている施設が増加していると実感されるが,人数が少ない施設では今後の充
実が望まれる.
本著はそれほど時間をかけずに一読できると思われるため,造影検査に係
わるメディカルスタッフに手軽に手にとって読んで戴ければ幸いである.