人間は誰でも間違いをおこす.医療安全が叫ばれる中,今でも医療過誤により患者
が亡くなるケースは後を絶たない.医療に携わる者の間違いは死や障害をもたらして
きた.一方で多くの医療過誤は,その過程を教訓とすることにより,さまざまな対策
が取られてきている.繰り返し同じことによって不幸な結果を招かないよう,情報共
有によって医療安全が向上してきたのである.われわれ診療放射線技師も日頃起こっ
たヒヤリとした経験,インシデントやアクシデントに至った事例を分析し,共有する
ことによって医療安全を向上させてきたのである.
目次
第1章 医療安全管理概論
1 安全文化の醸成
2 ヒューマンエラー
3 チーム医療と医療安全
4 医療事故,医療過誤から学ぶ
5 医療安全 ─診療で用いられる機器─
第2章 感染管理
1 標準予防策(Standard precaution)
2 感染経路別予防策(Transmission-based precautions)
3 針刺し・切創の予防
4 無菌テクニックと滅菌物の取扱い
5 院内感染事例
第3章 急変時の対応
1 造影剤
2 一次救命処置(BLS)
3 ICLS(Immediate Cardiac Life Support)
第4章 モダリティ別医療安全対策
1 一般撮影
2 透視検査・IVR
3 X線CT
4 MRI
5 超音波検査
6 乳房撮影(マンモグラフィ)
7 眼底カメラ
8 核医学
9 放射線治療
第5章 危険予知によるトラブル回避(KYT)
1 KYT(危険予知トレーニング)
2 TBM(ツール・ボックス・ミーティング:Tool Box Meeting)
3 医療現場における危険予知トレーニング
4 問題を解決する手法としての5S
5 問題を解決する手法としてのチームステップス:Team STEPPS
6 問題を解決する手法としてのFISH! 哲学
7 危険予知トレーニングの実際とその進め方
8 KYTの実践と発展
第6章 災害時の放射線医療
1 災害時のX線撮影
2 放射能トリアージの必要性.